血管外科
診療内容
血管外科は血管病変の治療を行う外科の一分野です。動脈および静脈疾患、血管外傷、血管奇形、透析用内シャント、リンパ浮腫などを診療します。
保存的治療(弾性ストッキングなど)、薬物療法、血管内治療、外科的治療を患者さんの状態に合わせて選択し最適な治療を目指します。
透析患者さんに多い下肢血流障害にも積極的に取り組んで参ります。
主な疾患
動脈瘤、四肢慢性動脈閉塞疾患(閉塞性動脈硬化症、バージャー氏病、膠原病関連動脈閉塞症、レイノー病など)、四肢急性動脈閉塞症、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、リンパ浮腫
医師紹介
熱田 義顕
卒業年 |
平成6年 |
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役職 |
部長・バスキュラーアクセスセンター長 |
専門分野 |
血管外科 |
資格・認定医など |
日本外科学会指導医・専門医、3学会構成心臓血管外科専門医認定機構専門医・修練指導医、日本脈管学会認定脈管指導医・専門医、日本血管外科学会認定血管内治療医、腹部ステントグラフト指導医、胸部ステントグラフト指導医 |
松本 嶺
卒業年 |
平成28年 |
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役職 |
医員 |
専門分野 |
血管外科 |
資格・認定医など |
日本外科学会専門医、腹部ステントグラフト実施医、下肢静脈瘤に対する血管内治療実施基準による実施医、弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター |
治療例
1.閉塞性動脈硬化症
一般に下肢の動脈硬化を閉塞性動脈硬化症と呼びます。症状はしびれ、冷感、間欠性跛行(一定の距離をあるくと下肢の痛みで歩けなくなるが休息をとると改善する)、安静時疼痛、潰瘍・壊死などです。透析を行っている方は重症化しやすく適切な治療を行わないと下肢切断に至ることもあります。当院ではカテーテルによる血管内治療、バイパス手術を病態に応じて行っております。
閉塞性動脈硬化症 治療症例 ①
女性、維持透析中
右足部安静時痛で発症。右足背に潰瘍出現し緊急入院。下腿動脈の限局性狭窄で血管内治療を行った。足背の潰瘍は湿潤療法で治療、2か月後に治癒した。
(治療前)
(血管内治療)
(4日後) (1か月後)
(2か月後)
閉塞性動脈硬化症 治療症例 ②
男性、維持透析中
以前他院で左下肢バイパス術施行されたが閉塞。
重症阻血肢で動脈の閉塞が広範囲であったため自家静脈によるバイパス術を行った。
(治療前) (治療後)
2.下肢静脈瘤
下肢の皮下静脈が拡張・蛇行し目立つようになった状態が下肢静脈瘤です。
血管エコー、3次元CTスキャンなどで診断します。下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術のガイドライン2019に従って治療を行います。当院ではラジオ波(高周波)による血管内焼灼術を行います。
(静脈瘤CT)
3.深部静脈血栓症
静脈は深い部分を走行する深部静脈、皮下を走行する表在静脈、これらを結びつける交通枝(穿通枝)からなります。この深部静脈にできた血栓症を深部静脈血栓症と呼びます。
深部静脈は全身に存在しますが深部静脈血栓症はほとんどが下肢に発症します。
急性期(発症後2週間以内)では下肢の腫脹、疼痛、暗赤色の発赤などが主な症状です。慢性期にはうっ滞性皮膚炎、色素沈着、皮膚の硬化、下肢腫脹、二次性の静脈瘤などが見られます。
深部静脈血栓症 治療例
50代、男性。
転倒による左膝裂創で縫合処置行った。受傷後より左下肢腫脹あり。
転倒から4か月後左下肢腫脹改善しないため当科外来受診。血管エコーで左下肢深部静脈血栓症(中枢型)と診断。抗凝固療法、弾性包帯、弾性ストッキングによる治療を行った。
(治療前)
(治療後①) (治療後②)
4.バスキュラーアクセス
内シャント作成、PTAなどバスキュラーアクセスを外科と共同で治療を行います。
シャント作成、シャントPTA、シャントの修復、血栓除去、人工血管移植、カテーテル留置、動脈表在化手術、シャント瘤、静脈高血圧症、スティール症候群などの治療を総合的に行っております。
新規デバイスのステントグラフト(日本ゴア合同会社、バイアバーン)や薬剤溶出性バルーン(日本メドトロニック株式会社、IN.PACT AV薬剤コーティングバルーンカテーテル)を用いた治療を導入しています。
(IN.PACT AV薬剤コーティングバルーンカテーテル)
(バイアバーン)
内シャント 治療例
70代女性
左前腕、右前腕、右上腕に人工血管内シャント作成されたが感染、閉塞繰り返すため当科での作成を依頼された。静脈造影で左上腕の尺側皮静脈が使用可能であったため左上腕尺側皮静脈転移内シャントを作成した。
(静脈造影)
(シャント造影3D-CT①)
(シャント造影3D-CT②)
データベース事業
当科は、一般社団法人National Clinical Database(NCD)が実施するデータベース事業に参加しています。この事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者さんに最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。この法人における事業を通じて、患者さんにより適切な医療を提供するための医師の適正配置が検討できるだけでなく、当科が患者さんに最善の医療を提供するための参考となる情報を得ることができます。何卒趣旨をご理解の上、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
なお、データを登録されたくない場合は、登録を拒否していただくことができます。当科スタッフへお伝えください。
詳しくはこちらをご覧ください。
一般社団法人National Clinical Database(NCD)ホームページ(http://www.ncd.or.jp/)