ECP治療
ECPとは?
ECPは、Extracorporeal Photopheresisの略であり、体外という意味の「Extracorporeal」、光を意味する「Photo」、分離を意味する「apheresis」の組み合わさった言葉であり、血液細胞の一部を「分離 (apheresis)」し、「体外 (Extracorporeal)」で「光 (Photo)」を照射してから体内に戻すことによる治療です。過剰に活性化してしまった白血球に紫外線を照射した後に体に戻すことで、過剰な免疫反応を抑制し、本来の免疫の状態に近づけることが期待できます。
1 . ECPは誰がうけられるのですか?
造血幹細胞移植後の合併症の一つである慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)を発症し、標準治療であるステロイド剤では効果がない場合、あるいはステロイド剤が副作用で継続できない場合に、ECP治療が適応となる可能性があります。
2 . ECPはどこで受けられるのですか?
ECP治療を行うための医療機器であるCellex ECP システムが2023年3月1日に保険適用となりました。2024年8月1日現在、ECP治療が受けられるのは全国で8施設のみであり、北海道では札幌北楡病院がECP治療がうけられる唯一の施設となっています。
3 . ECPではどのようなことを行うのですか?
まず最初に血管に針を刺させてもらいます。両肘の血管に針を刺すことが第一選択ですが、血管が細い方などでは首や太ももの付け根などに透析用のカテーテルを準備することもあります。その後、針を刺した血管から抜かれた血液が、専用の装置に入り、白血球が装置内に貯められます。その白血球を光感受性物質で処理した後に、紫外線を照射し、体内に戻します。
4 . ECPはどのくらいの時間がかかるのですか?
1回あたり1-2時間程度が目安となります。
5 . ECPは何回くらい行うのですか?
標準的な治療スケジュールでは、第1 週には3日間、第2-12週には週に2日間、第16-24週には月に2日間のECP治療を実施するため、6ヵ月間に合計31回のECP治療を行うこととなります。
6 . ECPは入院で行うのですか?外来で行うのですか?
札幌北楡病院では透析室でECP治療を行います。外来で行うことも可能ですが、治療を受けられる方の体調が良くない場合や、両肘の血管に針を刺すことが難しく、透析用のカテーテルが必要な場合などには入院で行うこともあります。
7 . ECPはどうすれば受けられますか?
標準治療であるステロイド剤では効果が不十分な慢性GVHDの治療として、ECP治療以外にも、イムブルビカ®(イブルチニブ)、ジャカビ®(ルキソリチニブ)、レズロック® (ベルモスジル)など内服薬による治療もあります。それぞれの治療の特徴がありますので、まずは主治医にご相談ください。